奈良コス見聞録異聞〜受け継がれる意志〜の巻

異聞

今回の見聞録は『異聞』としての文章です。
『見聞録と何が違うの?』と言われる思うのですが、
『異聞』に関しては

『奈良コス部とは直接関係ない、関係ある場合もあるタケヲの小話』

程度に思ってもらえると間違いないと思います。

ですので『奈良コス部に興味があってタケヲには興味ない🤣』なんていう方は全然スルーしてもらってOKですw

内容的には

『漫画やアニメ、ゲームなどの
サブカルチャーなどからインスパイアされた事を
色々と綴る』

感じにしていこうと思っております。
ネタの多い人間ではないので『奈良コス部・コスプレ』に縛るとすぐ底をついてしまいそうですのでw

では行きます‼️

2021年5月。

今から丁度1年ほど前、一本のニュースが漫画界に走りました。
それは

『漫画家・三浦建太郎氏死去』

おぉ、、、一発目からいきなり重めな内容?
となりそうですが、ちょっと色々書きますのでお待ちください💦

皆さんはこの漫画家三浦建太郎氏をご存知でしょうか?

漫画好きな方なら知らない方はいらっしゃらないでしょう。
四半世紀以上の間、日本漫画市場の頂点に君臨している作品の1つ、長編ダークファンタジー漫画『ベルセルク』の作者です。

その三浦建太郎氏が『ベルセルク』の完結を達成しないまま2021年5月6日に急性大動脈解離により、この世を去られたのです。享年54歳でした。


最強のダークファンタジー漫画

この『ベルセルク』という作品に出会ったのは、
私が高校3年生、18歳の夏の日でした。
早々に美容学校への進学を決めてウダウダ過ごしていた私に友人が勧めてくれたのがこの『ベルセルク』でした。

そして『衝撃』を受けたのです。

漫画を読んで『感情の逆流』を感じたのはベルセルクが初めてで、途中まで読んでここまで感情で心を掻き乱されたのは初めてでした。

そして思い出したのです。
ナルトの作者である岸本斉史先生がナルト連載前に編集部に本格ファンタジー漫画を描きたいと打診した時に編集部の方に

『日本のファンタジー漫画界にはベルセルクとバスタードがあるから、、、』

と返された漫画だったと。

大まかに内容を話すと
『大剣を背負う隻眼隻腕の黒い剣士ガッツが、仲間達を殺した異形の存在と戦い復讐していく』といった内容です。
ホントにザックリですがw

そんな日本ファンタジー漫画史の頂点に1989年から君臨し続けた漫画が未完のまま終了したのです。

私にとってはまさに青天の霹靂でした。

未完の名作が、、、

話が本当に佳境に向かっている時期での突然の訃報に漫画界は揺れ、名作『ベルセルク』が未完に終わってしまう事にファンは涙しました。

私も高校生の頃から20年程読み続けてきた漫画の

『未完の結末』

を受け入れるのが辛かったのを覚えています。

『本当にコレで終わりなのか、、、』

ファン全員がそう思っている中、先日まさかのニュースが届いたのです。
最新巻は41巻

重すぎる責任

ある人物の出現。

それはあの『ホーリーランド』や『自殺島』などの作品で知られる森恒二先生です。
森恒二先生
森先生は三浦先生と高校時代からの親友、共に漫画家を目指す仲だったようで、連載が始まってからもお互いに作品の相談をし合っていたようです。

今から30年程前に三浦先生から『ネームの相談に乗ってくれ』と呼び出され遊び半分に仕事場を訪れると、そこにはいつもより真剣な表情の三浦先生が。。。

『蝕をやらなければならない』

この一言で森先生は

『そりゃあ大事だ、、、』

と思われたようでした。

『蝕』というのは『ベルセルク』の中で一番のキーポイント(11〜13巻)になるイベント、、、というか儀式でして、ココで主人公のガッツ(読者も含めて)はこの世の終わりを目にします。
森先生は以前から三浦先生よりこの『蝕』に関して沢山の想いを聞いていたのでしょう。
コレは大変なネタバレになりますので『蝕』の内容は話せませんが、高校生の私にトラウマを植え付けるには充分な内容でした。
ですので激しめな内容が苦手な方は本当に読まない方が良いです。

その『蝕』の相談で森先生はそこから1週間もの間軟禁生活を強いられました。

そしてその時、正に『ベルセルク』は最終回までの物語が完成したのです。
そして恐ろしいのはそのシナリオが30年前のその時から殆ど変更なく進んできたそうで、お互いの作品の大きなエピソードの度にお2人は相談を繰り返してきたのでした。

勘のいい方はもうおわかりでしょう。

森先生は『ベルセルク』の結末をご存知なのです。

しかし森先生はこう続けます。

『知っているから描ける訳ではない
『ベルセルク』という偉大な作品は
三浦建太郎という天才だから描けるのだ』

、、、と。
しかしこうも続けられました。

『私には大きな責任が生じてしまった、、、
生前三浦は『ベルセルクの結末は森ちゃん以外誰にも話していない』と話していた
そしてそれは事実だった。』

、、、、。


森先生は本当に悩んだようでした。

必死の力

インタビューしてもらいファンに向けて話すのか、

イラストを付けた文章を掲載してもらうのか、、、

しかしそれらでは三浦先生が森先生に伝えた情景、ガッツやグリフィスの台詞は伝えられない。
そんな時森先生の元に編集部から連絡が入ります。

『絶筆した回の原稿を
スタッフが最後まで描く
というのでみて欲しい。』

その手付かずの原稿を見に行く前に、後ろ数ページは完成しておらず三浦先生の描くキャラクターが入っていない部分もあると聞き

それを聞いていた森先生は内心、、、

『厳しいだろう』

、、、そう思いながら原稿に目を落とします。


必死の力というのは人を奇跡的に向上させるのです。

そこには正に『ベルセルクの完成形』があったのです。

受け継がれる意志

『森先生、自分達にやらせてもらえないだろうか?』

三浦先生の自慢の弟子達は真っ直ぐに森先生に伝えます。

三浦先生と森先生の恩師である島田取締役も

『やるなら会社は全力で支える』

そう言ったそうです。

ここで逃げれば三浦先生に

『散々話したのにやってくれなかったのかよ!!』

再会したときにそう言われる気がして

『わかったよ、、、ちゃんとやるよ。』


約束

最後に森先生はこう記しています。

『皆さんにお断りと約束があります。

なるべく詳細を思い出し物語を伝えます。

そして三浦が私に語ったエピソードのみやります。

肉付けはしません

はっきり覚えていないエピソードもやりません。

三浦が私に語った台詞、ストーリーのみやります。

当然完全な形にはならないでしょう。

しかし三浦が描きたかった物語を

ほぼ伝えられると思います。

三浦の弟子達は本物です!

素晴らしい描き手です。

三浦不在の『ベルセルク』に

不満不服あると思いますが

どうか見守っていただきたいと思います。

よろしくお願いします。』

2022年6月 森恒二

伝説は終わらない。

今回ご紹介した物語は先日森恒二が公表された文章を、ベルセルクを知らない方々にわかりやすいように
イチ『ベルセルク』愛読者であるタケヲが解説した文章になります。

20年前に初めて手に取り、『感情の逆流』を感じた作品が未完の結末を迎え大いに落胆したファンの1人です。

森恒二先生の作品も沢山読ませて頂き、2人の友情がその未完の名作を伝説の傑作にしてくださるのです。

不満?
不服?

あるヤツいる!?
いねぇよなぁ!!

受け継がれる情熱と物語の結末を、
心待ちにして過ごしたいと思います。

奈良コス部運営 タケヲ

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コメント: 2
  • #1

    さっちゃん (水曜日, 08 6月 2022 23:47)

    私は読んだことありませんが、全巻持ってるダンナが、「なんとなんと!凄いな!」と喜んでましたー!(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
    私も大好きだった漫画「イタズラなKiss」が未完に終わって悲しかったのを思い出しました( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ )だから続きが知れるのは羨ましい~

  • #2

    タケヲ (木曜日, 09 6月 2022 09:23)

    さっちゃん
    未完の名作ってホントに残念ですよね
    しかしその想いを受け継いで完成させる人が出てくるのにもドラマを感じてしまう⭐️
    旦那さんも楽しみになると思います!